RICOH STAYTHEE
2021 - 2025
01. Context
RICOH STAYTHEE は、リコーの新規事業創出プログラム「TRIBUS」の2021年度(3期生)採択チームから生まれたプロダクトである。魚の浮き袋の原理にヒントを得た、電池不要で水中の中性浮力を保つ「浮力調整器」── 360度カメラやアクションカメラを水中の一定位置に留め、手放しでの撮影を可能にする道具だった。tsug は2020年からの TRIBUS メンター活動を起点に、事業化フェーズの STAYTHEE チームのブランド・プロダクト・販売立ち上げをスタートアップマネジメントの視点でサポートした。「大企業の社内インキュベーションから生まれたチームを、本物のスタートアップとして世に出すこと」── 社内プロジェクトと事業会社の間にある摩擦を取り除き新規事業を成立させるサポートをした。
02. Concept
STAYTHEE はあくまで「魚の浮き袋の原理を量産プロダクトに翻訳した道具」である。技術仕様だけで語れば地味なアクセサリーになる対象を、ダイビングやスノーケリングを愛するユーザーが手に取りたくなるブランドとして成立させること ── ここを VI とサウンドロゴの中核に据えた。
中性浮力という静かな振る舞いを、海と道具と人の関係から立ち上げる輪郭。プロダクトカテゴリとして無名な「浮力調整器」を、自分の名前で覚えてもらえる存在に押し上げるためのブランド表現が、STAYTHEE という名前と表現の役割だった。
03. Structure
tsug はブランドの顔とローンチ周辺を主担当し、プロダクト本体は STAYTHEE / リコー側チームと共同で組み立てた。
- Brand VI:STAYTHEE のネーミング、ロゴ、グラフィック、トーン&マナーを tsug が主担当として設計
- Sound Logo:ブランドサウンドロゴをデザイン
- Industrial Design:プロダクト本体の造形デザインを、リコー側チームと共同で進行
- Mechanical Engineering:浮力調整機構を含む内部構造設計を、リコー側チームと共同で進行
- EC Launch Support:販売サイトの立ち上げサポート(staythee.ricoh)
- Startup Management Support:事業化フェーズにおける意思決定・優先順位・体制構築への並走支援
04. Role & Engagement
- Mode: Brand VI / Product Design Partner / Startup Management Support
- Position: TRIBUS メンターから事業化フェーズのサポートパートナーへ
- Duration: 2021 - 2025
- Touchpoints: 概念設計 / 構造設計 / 浸透計画
05. Outcome
STAYTHEE は段階的に展開された。2022年7月、RICOH THETA 用に100台限定で先行発売(リコー リリース)、続いて2022年12月、Insta360 ONE X2 対応版を数量限定で発売(TRIBUS 2022/12/06)、2024年6月には STAYTHEE 2024 として RICOH THETA/Insta360/GoPro 計12モデルに対応する拡張版をリリース(TRIBUS 2024/06/26)。応用領域はマリンスポーツにとどまらず、報道・広告、映画・映像制作、観光、漁業、海中研究と広がっていった。
2025年9月、長年のビジネスパートナーであった Insta360 開発元 Shenzhen Arashi Vision 社へ技術譲渡が決定(TRIBUS / リコー 2025/09/17)── 大企業発のインキュベーションチームが、本物のスタートアップとして事業ごと次の担い手へ渡るという形でのネクストステージに到達した。tsug の関与もこの譲渡をもって完結している。
大企業の社内インキュベーションプログラムから、初めて事業譲渡まで進んだスタートアップとして、TRIBUS の代表的成果のひとつになった。
06. Voice
大企業の社内インキュベーションプログラムから生まれたチームが、スタートアップとして世に出て事業譲渡まで完走するサポートをした。