Sang-mêlé OND
2019
01. Context
株式会社サンメレが2019年10月、中目黒に立ち上げた新業態のガストロノミー・レストラン「OND」の VI を担当。「素材を知り尽くし、温度で遊ぶ」を哲学に、低温調理を主軸として -196℃〜300℃の精緻な温度操作で素材本来の味を引き出すレストランで、Fundish(飲食特化型クラウドファンディング)の第一弾、"あと値決め" の革新的料金体系でも話題を呼んだ。一般的な飲食店 VI が向かう親しみやすさや温かみの方向とは異なる、ガストロノミーの実験性を視覚化する先鋭的なデザインを VI として成立させるのがゴールだった。
02. Concept
中核に据えたキーワードは、「内側からの力」と「原型」。
低温調理という、外側から熱を加えるのではなく素材の内部で起こる変化を扱う業態の本質を、ロゴの造形に直接翻訳した。内側からの熱の力でわずかに膨らんだ幾何形状 ── 四角と円をモチーフに据え、そこから "O" "N" "D" の三文字を展開している。シャープな外形ではなく、内圧を孕んでふくらむ輪郭で先鋭性を表現したのが特徴である。
ロゴはモノグラム化しても自立するように設計されており、各種ツールやノベルティへ展開する際の柔軟性を確保している。
カラーは、水ではなく "生命的な熱を含んだお湯" をイメージする深緑と黒。温度を扱う業態のなかで、無機質に振り切るのではなく、生命と熱の予感を残した暗色を選んだ。
03. Structure
tsug は VI 一式とその展開ツールを担当した。
- Logo / Monogram:内側から膨らむ幾何形状をベースに "O" "N" "D" の三文字を造形。モノグラム展開可能な構造
- Typography & Notation:店名の表記・スペリングをロゴと一体で確定
- Visual Identity:カラーパレット(深緑+黒)、トーン&マナーの設計
- Stationery:名刺ほか VI ツール
- Novelty:手拭いのデザイン
- Web Design:オープン当時のウェブサイト
レストラン本体の運営、店舗空間設計、メニュー開発などは、サンメレ社およびシェフ・店舗チーム側のレイヤー。
04. Role & Engagement
- Mode: Visual Identity / Brand Design
- Position: サンメレ社が主導するレストラン事業の VI 担当
- Duration: 2019
- Touchpoints: 概念設計 / 構造設計
05. Outcome
- 2019年10月オープン時の話題化:Fundish 第一弾、"あと値決め" 方式という革新的料金体系で、MONEY PLUS、沿線グルメ、PR TIMES など複数メディアに掲載。tsug が組んだ VI は、この新業態の顔として店頭・Web・刊行物の全面で機能した
- 先鋭的なガストロノミー業態の VI として、飲食店の VI に一般的な「親しみやすさ・温かみ」の文法から距離を取った設計を成立させた事例
- 現在は営業終了している
06. Voice
「温度で素材を遊ぶ」という業態の本質を、外形のシャープさではなく内側から膨らむ造形で表現した VI 事例。