IBM ISAC (Integrated Spatial Assistant Console)
2020 - 2021
01. Context
日本IBM IBM Digital Makers Lab. から依頼を受けたプロジェクト。「Watson の最先端音声・画像処理 AI を、企業内 IT インフラの基点となるプロダクトとしてどう成立させるか」という問いに対し、プロダクトデザインと CES 披露用デモ機のシステム設計・デザインエンジニアリングを担った。
02. Concept
ISAC は BtoB プロダクトとして「オフィス環境の IT システムの基点となる、ミーティングのコンパニオン AI デバイス」と位置づけた。議事録共有、会議室予約のファシリティマネジメント、プロジェクトのマイルストーン自動提案、チーム共有 ── 企業内のさまざまな業務情報を AI が束ね、組織のインフラそのものをパワフルにする入口になるデバイス、という構図である。
デザイン言語は、議事録スピーカーとしての本体が「360度から情報を吸い上げ、ミックスし、新たな情報へ昇華する」現象を象徴する造形を中核に据えた。多角形断面が回転しながら上昇し、円形と三角形といったシンプルな幾何形状へ変容していくスタイリングで、情報の流入と統合のプロセスをそのままかたちにしている。表面のカラーリングは高級スポーツカーに用いられるような、見る角度によって色味と反射が複雑に変わる多重塗装。音声・テキスト・文脈といった多様な情報を扱うプロダクトであることを、変化し続ける表面色そのもので表現した。
03. Structure
tsug はハードウェアの全工程を担当した。
- Industrial Design:本体の造形、サイズ感、卓上での佇まい、多角形から円形・三角形へ変容するシルエットの構成
- Materials & Finish:多重塗装の選定と仕上げ設計
- Internal Layout:内部電装実装のコンポーネント選定からレイアウト設計
- Sensors & I/O:360度集音のためのマイクアレイ、話者識別用カメラ、出力スピーカーの配置設計
- Engineering:CES 披露用デモ機としての動作を成立させるためのシステム設計とハードウェアエンジニアリング
ソフトウェア UI 部分は IBM 側が担当する切り分けで、tsug は概念設計から構造設計まで ── ものとして成り立たせるレイヤーを一貫して担った。
04. Role & Engagement
- Mode: Product Design & Design Engineering
- Duration: 2020 - 2021
- Scope of Hardware: ハードウェア全工程(造形・素材・電装実装・センサー配置・エンジニアリング)
- Touchpoints: 概念設計 / 構造設計
05. Outcome
ISAC は CES 2021 Innovation Award(Computer Peripherals & Accessories 部門)を受賞。これは日本IBM として初のCES Innovation Award 受賞となった(PR TIMES / 日刊工業)。クラウド AI を中核に据えた BtoB プロダクトとして、最先端の音声処理・画像処理・クラウド技術を組み合わせた "世界初のソリューション" と紹介された。
06. Voice
企業内 IT インフラの基点となるコンパニオン AI デバイスを、2021年時点で世に先駆けてプロダクトとして形にした事例。